今回は、鹿児島市と奄美大島の2会場で開かれた。和歌山の報告は、奄美での西和佐小学校の一本だけであったため、和歌山からの参加者は、奄美に行く者が多かった。後で奄美の分科会に参加した仲間から聞くと、「島差別」という言葉が耳新しかったらしい。そのことについては、「解放新聞 県連版」で参加者から報告を載せる予定である。
毎年、この全国・人権研究大会の第一日目の夜に、全国部落出身教職員連絡会(出身教)の総会が開かれる。出身教では、8月に研修会、全国研究集会の第一日目の夜に交流会が行われている。その中で出身教師としての悩みや、各地での同和教育の取り組み、活動の報告などがされている。これらの会は、それぞれの持ち回りであるため現地の特色がよく理解できた。(和歌山でも数年前に夏の研修会が開催された。)
今年は、11月26日に鹿児島市内の鹿児島県教育会館で行われた。毎年来賓として解放同盟の教対部長が参加挨拶をしていただいていたが、今年は、組阪委員長が来られ挨拶していただいた。その中で現在同和(人権)対策の上での直接的なただ一つの法である「人権教育及び人権啓発に関する法律」(人権教育・啓発推進法)の第9条(財政上の措置)を武器にせよという発言があった。和歌山でも人権・同和教育の中心となるべき「学習支援推進教員」の位置づけが曖昧なままで、またその定員も少ない状態である。(減らされる可能性すらある。)そのような状況で、この第9条が武器にならないか研究してみることの必要性を感じた。その後、総会で11年度活動報告・会計報告、12年度役員選出・活動方針の議事が全て可決された。総会が終わると交流会が始まり、地元の料理を楽しみながら、各地の出身教の紹介が行いながら交流をした。今年は、例年に比べると2会場に分散したことなどで、若干参加者が少なかったように思ったが、来年の岡山大会で再会することを誓って散会した。
「みんなで創ろう人権文化 みんなで築こう人権社会〜“より深くかかわるいとなみを“南の風にのせて〜」という大会テーマのもと鹿児島県鹿児島市・奄美市でひらかれた。今回、奄美での開催ははじめてということで奄美会場にいった。奄美のイメージは南の方で暖かい島、それぐらいのものだった。実際、奄美空港に着くと11月末だと思えない暑さだった。しかし、その暑さ以上の「熱さ」をこのあと知ることとなる。地元奄美からの報告や「人権の夕べ」のアトラクションで、奄美の「歴史」「島差別」というものがあることを知った。琉球王国の侵攻の事や薩摩藩の搾取により食べるものがなく、ソテツの幹を削っておかゆを作り、それで飢えをしのいだこと、現在では島から出て高校に通いそこで島からきたということでいじめや差別を受けているという現実を聞いた。恥ずかしならが、ここにくるまでは知らなかったことばかりで、ここにきてはじめて知ったこと、ここにきたからこそ考えられたことである。やはり、奄美の「島差別」の問題も部落問題と同じように島のなかでも問題ではない。島の外側、島外に問題がある。まわりがこれらの問題に真に向き合わない限り、解放への道はひらかれない。すべての人びとの人権が尊重され、助け合える平和で豊かな人権社会を実現するため、これからも研究し、実践していきたい。
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